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プログラミングや数学や物理に関する技術メモ

おすすめ理系洋書 - Priciples of Mathematical Analysis (Rudin)

Baby Rudinとして知られる超良書

以前から気になっていた解析学の洋書を読み終わったので本ブログ初のブックレビューをしてみます。 このPrinciples of Mathemtaical Analysisはアメリカの大学では解析の授業で必ず手っていいほど指定の教科書になる超超超ド定番の本です。私自身はアメリカの学部卒ですが、数学専攻ではなかったので触れ合う機会はありませんでした。それでもBaby Rudinという愛称で親しまれ、数学専攻の友人は必ず持っている本だったのでいつか読んでみたいと思っていました。


どんな人におすすめか

結論から言いますと、数学科以外の理系学生だけど数学に自信のない方におすすめです。この本は一切図形や直観的な解説がなく、すべての定理・定義が数式と言葉で表されています。そのため、あいまいな理解ではこの本を読み終わることができません。しかし、解説が冗長で退屈なわけではなく、すべての定理の証明が驚くほどにシンプルで美しく解説されています。あくまで私の感想ですが、この本を読んだことによって数学者がなぜ数学を愛するのかが理解できた気がします。と、ここまでこの本を褒めちぎりましたが、万人におすすめということではありません。内容的には高校数学ができれば理解できなくはないはずですが、リーマン積分などさえ図がなしに説明されています。また、中には証明が美しすぎて、「作者はどうやってこんな証明方法を思いついたんだろう」と感心するものがあります。少なくとも理系で大学レベルの数学に触れてきた人でなければ理解に時間がかかりすぎて投げ出してしまうでしょう。


Baby Rudinを読む前に

文系だけど数学に興味がある人や、挑戦してみたい高校生などには別にMichael SpivakのCalculusという本がおすすめです。こちらの本もアメリカの大学では必ずと言っていいほど指定教科書になるもので、私が卒業した物理学科でも一年目の数学の授業で使いました。Rudinが定理をできるだけ簡潔に美しく証明するのに対し、Spivakはどういった思考過程で証明を思いつくのか、直観的な説明も交えて解説してくれています。Baby Rudinは数学科の学生が証明を一つ理解するのに数時間を要するような本です。少なくとも大学数学の経験がない人がBaby Rudinから読み始めるのは少し無謀なレベルだと感じました。